今までの総括と今後の事業展望

 2017年夏に起業して早もう5回目の春を迎えようとしています。振り返れば当社( 合同会社イノベートライフ )にとって激動の5年間でした。この暫定的なホームページを立ててから一度も更新せずに月日ばかり経ってしまい、気が付けば2022年春を迎える時期となってしまいました。そこで今までの当社の歩みの総括と今後の展望を述べることで、この拙いホームページを訪れて下さった方々にご挨拶しようと思いました。

 当社は一般社団法人イノベーション長崎のシンクタンクとして2017年夏に起業しましたが、当社起業に先立って立ち上げた 一般社団法人イノベーション長崎 は地域トークンエコノミーによる長崎の経済活性を目指すコミュニティ形成母体です。そして同時に暗号資産発行体母体になることも目指しています。(社団形態として 地域トークンエコノミー プロジェクトのローンチが明確になり次第、可及的素早く非営利型、出来れば公益型社団法人に法人形態を変更出来る様に、暫定的に一般型一般社団法人で立ち上げました。)

 この社団の構成員(自然人、法人)は社団として独自に発行する地域トークン=暗号資産(2017年当初は仮想通貨と呼ばれていました。この社団法人自体の価値を明示させる機能を持たせます。)を各自で所有することで会員の地域における経済活性活動をこの象徴的な地域トークンを中心に有機的に統合させ、会員で構成するコミュニティの価値の見える化を目指すものです。同時に各会員の経済活動をこの地域トークンを介させることによって相乗効果を来し結果的に各会員自体が保有する暗号資産の潜在的価値を高めることも目標としています。これにより今までバラバラとなっていた地域の潜在価値を一つにまとめ上げる機能を持つ「地域の顔」となる地域トークンを創設を目指し、地域外からの地域トークンを介した投資を受け入れ有機的に統合した地域コミュニティの価値全体の底上げを目指そうとするものです。そしてそれにより沈滞化した地域経済活動の活性起爆を期待しようとするものです。実際に 一般社団法人イノベーション長崎 として2018年1月に開催された長崎市観光ビジネスコンテストでファイナリストにも選抜され企画発表を行い、また同年5月には全国から多くの方々に長崎までお越しいただき企画発表会も開催しました。

 更には当社としても世界的に有名な暗号資産コミュニティに積極的に顔を出すようにして多くの人との出会いを作り、それにより長崎の地域としての観光資源、歴史資源の再確認だけではなく、他の地域の観光資源との比較検討、暗号資産の在り方の視点から見た世界や日本の経済問題などを深堀するように努めました。この様に2017年〜2019年は 一般社団法人イノベーション長崎 のシンクタンクとして当社は研究及び企画検討を精力的に行なってきました。

 しかし2019年3月の第198回国会にて法人所有の暗号資産の決算日の含み益課税が可決され、近年有識者から声が上がってきている様に日本の世界一厳しい暗号資産税制が明確化した事で、起業当初抱いていた若者の流出が止まらない長崎の沈滞化した経済を地域トークンエコノミーによって活性させるという夢が遠のく状況に追い込まれてしまいました。幸い 一般社団法人イノベーション長崎 としては法整備、税制整備が整うまではコストのかかる事業は控えていた事、独自暗号資産の発行も控えていた事もあって、事業体としてのダメージは最低限で済んでいます。(2017年当初、我々の活動だけではなく、その他にも複数の暗号資産イノベーションを目指す事業体がありましたが、残念ながらそれらのどの事業活動体も現在ではほぼ全て休止している様です。)

 そこで当社としては日本に於ける地域トークンエコノミーのローンチに適した暗号資産法整備、税制整備が将来なされるだろう事を想定し、それまではコミュニティ形成のための基礎研究(日本や世界から見た長崎の経済=観光資源・歴史的資源、特にキリスト教的研究)を続けることとし、当社が保有している暗号資産を運用する事で事業継続に伴うランニングコストを賄うことにいたしました。また当社としては 一般社団法人イノベーション長崎 の構成会員の一員として、将来は多角的事業展開も予定しており、その一例として太陽光発電事業も視野に入れユーザー目線に則った実験事業も行なっています。更には2020年には古物商許可証を取得し「暗号資産古物商」として地域トークンの実需形成の可能性を探る研究も始めています。

 しかし2019年12月から始まった全世界的な想定外のコロナ禍により、それまでの積極的な対外活動はブレーキを余儀なくされ、それだけでなく2018年からの仮想通貨バブル崩壊の余韻に覆いかぶさるかのようにコロナ禍による経済危機の煽りを喰らって暗号資産の想定外の価格暴落に見舞われ、2020年は今までに無い程の厳しい資産運用状況に追い込まれてしまい当社も非常に苦しい資金繰りを強いられる年となりました。しかし幸い諸手当を講ずることで事業継続が可能となり現在に至っています。

 最近になって暗号資産周りの法規制も徐々に明確になって参りましたが、多くの識者から日本の暗号資産税制の在り方が暗号資産イノベーションの成長を阻害しているとの論調が益々強くなってきています。例えば当社も運用している暗号資産の取引会計評価に多大な労力を割いていますが、特に価格ボラティリティが極端に大きい暗号資産の決算期末評価に難渋しています。活発な市場があるとみなされる暗号資産エアドロップが行われると市場取引開始初期にはかなり大きい価格ボラティリティとなる為、やむなく市場価格がつく前には資産評価を済ませる必要からわざわざ決算日自体を変更せざるを得なくなる事さえありました。それだけではなくエアドロップの予定が度々延期変更される事例にも見舞われ、これらの対応にも苦慮しています。

 この様に当社が経験している暗号資産運用のマネージメントの難しさ、また 一般社団法人イノベーション長崎 だけでなく複数の暗号資産イノベーションの企画事業体が当初の企画進捗を停めざるを得なくなってしまった原因として、諸外国と比較して厳しい日本の暗号資産税制の在り方も一因として考えられると思われます。(他国では暗号資産税制に工夫がある様子で、多くの暗号資産イノベーターがそれらの国々に集まっているようです。)今後の日本の暗号資産イノベーションの発展の為にも、暗号資産周りの税制の在り方が適切に改正されるのを願っている次第です。

 ところで2022年に入り「メタバース」(超越仮想空間)がトレンドになりつつありますが、現実社会だけでは無く仮想空間内での経済活動もいよいよ身近になってまいりました。 一般社団法人イノベーション長崎 も 現実社会 とメタバースとの架け橋となる様な事業体となるのかもしれません。社団のシンクタンクとして当社も引き続き地域(もしかすると仮想空間内での地域かもしれません…)トークンエコノミーの実現に向けて基礎研究を続ける所存です。尚、人の意識をメタバースに留めるとなると、人の感覚に絡む生理学だけでなく、思想に絡む哲学的宗教的アプローチ(特に長崎の歴史的背景からキリスト教の多様な視点において)が今後必要になると予想しており、当社としてはその視点でも引き続き研究を続けていきたいと考えています。